『ウィンド・リバー』虐げられる者の悲しみが詰まった映画

ミステリー作品として見る『ウィンド・リバー』

発見された少女の死体から真相を探るミステリーとして観ると、この『ウィンド・リバー』という作品はありふれたアメリカのミステリーという感じの手法だったかな。時間が起こり、捜査官が派遣されて操作手順を見せながら真相を追って行くという流れ。

主人公のコリー・ランバートが野生生物を追うエキスパートということもあり、雪の中犯人の痕跡を見つけて辿って行く描写が一番楽しめた。サスペンス要素もあり、被疑者との撃ちあいや一触即発など、緊迫した状況も面白かったです。

ただ事件の裏に誰かの思惑や陰謀とかはなく、むしろ突発的な事件で何かを暴くという楽しみは少なかった気がしたのも確か。あえてミステリーの真相は薄めにしていた感じも感じられます。というのも、この映画には事件の真相を追うミステリー要素以外にももうひとつの視点があったからです。

虐げられる者の悲しみを映し出す『ウィンド・リバー』

物語の舞台は山奥で、冬季は雪で外界と閉ざされた町です。事件が起きたのもそんな冬場でのこと。しかもその町の住人のほとんどがネイティブ・アメリカン(インディアン)で、ネイティブ・アメリカン(インディアン)による捜査局もあるほど。

そして被害者の家族もネイティブ・アメリカン(インディアン)で、父親の悲壮感と母親の自傷行為に残された者たちの絶望が表現されていました。そこに感じられるのは疎外感です。

被害者の兄も武器を売るだけの貧乏暮らしで、ボロボロのトレーラーの中でドラム缶の中に焚火をして暖を取るような生活で、取り残されてしまった感じがあります。とにかく調査を進めていく中で出てくる人物がなにか疎外感や悲しみを抱えているのです。

主人公のコリー・ランバートにも疎外感が

主人公のコリー・ランバートは動物追跡のスペシャリストで、仕事で牛を襲うピューマ追跡してハントするような屈強な属性を持っています。アクション面でもさりげなく最強さを醸し出し、まるでスパイ映画の主人公のようです。

そんなコリーでさえ、なんだか寂しそうな目をしています。妻と息子とは離れて暮らし、どこか人を遠ざけているかのよう。劇中では娘が死体で発見されていることが語られています。

しかし犯人や事件の真相はわからずじまい。『ウィンド・リバー』そんなコリーは真実から疎外感を感じているように見える映画です。というより、そういった疎外感や悲しみが『ウィンド・リバー』の登場人物たちを動かしているように思えました。

ウィンド・リバー』は制作陣からワクワクが感じられる

『ウィンド・リバー』の監督はテイラー・シェリダンです。『ボーダーライン』の脚本家で知られています。『ボーダーライン』は ベニチオ・デル・トロがひたすらかっこよかったことだけしか覚えていませんが、続編を観るのが楽しみです。

コリーを演じたのは ジェレミー・レナー。『ハート・ロッカー』で一躍有名となり、鼻が特徴的なあの役者です。鼻といえば、エドワード・ノートンがその座に君臨していましたが、いまのハリウッドの鼻といえば、ジェレミー・レナーだと思います。それくらい活躍しているのです。

こちらの記事も人気です

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA