目次
【帝都物語】辰宮洋一郎は大蔵省の有望官吏
|
辰宮洋一郎とは荒俣宏による【帝都物語】シリーズの登場人物のこと。大蔵省の官吏としてバリバリと働いており、家族を顧みない性格をしている。それが災いして友人や家族との絆がバラバラに切り裂かれるハメに。
【帝都物語】は加藤保憲による東京崩壊の策略に翻弄される時代を描いている。辰宮洋一郎は物語の冒頭からその策略の中心で一族もろとも翻弄されることになる。辰宮洋一郎は【帝都物語】の主人公のひとりで、加藤保憲に翻弄される【帝都物語】の物語と共に長い間、翻弄される。
映画版【帝都物語】で辰宮洋一郎を演じたのは石田純一
映画版【帝都物語】で辰宮洋一郎を演じたのは俳優の石田純一。若い!
【帝都物語】辰宮洋一郎は家庭を顧みない仕事人間
|
【帝都物語】の辰宮洋一郎は仕事人間という感じであまり好感が持てない。何かを忘れようと仕事に打ち込み、妹のことをないがしろにしている描写も多い。とくに妹の辰宮由佳理は加藤保憲によって精神を傷つけられ、誘拐され、色々大変だ。
それでも辰宮洋一郎は大蔵省の仕事を優先するばかりで、自らは妹の由佳理を探そうとはしない。友人の鳴滝順一に任せっきり。最終的には少しは心配しろと友人の鳴滝さえ呆れさせてしまうしまつ。
【帝都物語】辰宮洋一郎の仕事人間ぷりが崩壊させる絆
|
仕事に打ち込む辰宮洋一郎はそのせいかめきめきと出世していく。出世すればするほど仕事に追われ、家族をないがしろにする。そして辰宮由佳理に一切関わることをしなくなり、周りも読者も呆れさせてしまう。
そんな辰宮洋一郎の絆が崩壊する時がやってくる。それは友人の鳴滝との決別。辰宮洋一郎の態度が殴り合いの喧嘩にまで発展する。さらに精神を病んだ由佳理の世話を鳴滝家に任せ、辰宮洋一郎は孤独な生活を送ることになった。
【帝都物語】辰宮洋一郎の妹に対するアブノーマルな愛
|
妹の由佳理をかどわかされ、のちの帝都破壊の要とするため加藤保憲の子種を植え付けられてしまう。伊勢白粉を用いて堕胎を試みるが、由佳理はややこを抱えたままだ。加藤保憲の魔力のせいかと思われるが、意外な事実が明らかになる。
由佳理に植え付けられた加藤保憲の種を堕胎させたあと、辰宮洋一郎は魂の抜けたような実の妹の由佳理と交わり、兄妹で娘を孕ませたのだった。それは合意の上であったか、意思のない肉体への強姦なのか、しかし兄妹の歪んだ愛情は幼少期から始まっていたのだ。
辰宮洋一郎には幼少期に幼い女の子を殺した記憶がぼんやりとだが、あった。その少女こそ妹の辰宮由佳理で洋一郎は愛する由佳理を誰にも取られたくないあまりに一度殺してしまったのだ。奇跡的に由佳理が蘇生されて助かったため、その嫌な記憶を洋一郎は封印したのだ。
【帝都物語】辰宮洋一郎の娘の雪子
|
【帝都物語】辰宮洋一郎の妹の辰宮由佳理は加藤保憲にかどわかされ子供を身籠るが、その子供は実は兄、辰宮洋一郎との子供だった。ふたりの子供、雪子は母親ゆずりの霊能を秘めている。そこを加藤保憲に利用され、大正大地震を引き起こす要因にされた。
【帝都物語】辰宮洋一郎は加護を受けた存在
|
【帝都物語】の作中で辰宮洋一郎が加護を受けているという描写が見られる。その最たるものが目方恵子の存在だろう。目方恵子は俤神社の宮司の娘で、平将門の巫女としての役割を背負ってこの世に生を受けた。
そしてあるとき、占いで辰宮洋一郎を守護するよう啓示を受ける。辰宮洋一郎は正式に平将門の加護を受けたのだ。こうして辰宮恵子は辰宮洋一郎の嫁となり、きたるべき時のために洋一郎と由佳理、その娘の雪子を守るのだった。
【帝都物語】辰宮洋一郎に訪れる運命
|
加藤保憲が中国へと撤退した帝都で辰宮洋一郎はひとり寂しく過ごしていた。しかし昭和史を揺るがす大きな事件に巻き込まれてしまう。二・二六事件である。当時の辰宮洋一郎は大蔵大臣の高橋是清に仕えていた。
陸軍の青年将校たちはクーデーターを決起し、辰宮洋一郎の上司にあたる高橋是清が殺害されてしまう。この暴挙に憤慨した辰宮洋一郎は皇居へと向かう青年将校たちを追い、これを責め立てた。
しかし行進を続ける青年将校たちのひとり、中島莞爾によって射殺されてしまう。この時は人生を狂わされた相手として雪子から恨まれており、雪子から莞爾に殺して欲しいと頼まれていたこともまた皮肉だ。
【帝都物語】霊界で由佳理と結ばれた辰宮洋一郎
|
最愛の兄である辰宮洋一郎を失い、生きる気力を失っていた由佳理のもとに加藤保憲から贈り物が届けられる。源頼朝に所縁のある金札鶴の喉骨から作られた鶴笛である。それを吹けば音が出せるようになるまでに気力が回復するのだという。由佳理はその鶴笛に魅了されてしまう。
この鶴笛だと思っていた代物はその実、辰宮洋一郎の骨から作られた代物だった。由佳理はその角笛を吹くたびに毒され、衰弱してゆく。目方恵子がその事実に気づいたときにはすでに遅く、辰宮由佳理はついに衰弱の中で力尽きてしまった。
辰宮洋一郎はそんな妹の由佳理を夢の中で、天界で待っていた。そこへ由佳理の魂が昇り、待っていた辰宮洋一郎と再会する。星空の下で結ばれることを許されなかった兄妹が神々に祝福されながら、ふたりの物語の大団円を迎えた。
【帝都物語】辰宮洋一郎は本当に加護を得ていたのか?
|
一度は加藤保憲によって神降ろしの依童に選ばれた辰宮洋一郎。その役目を妹の由佳理に奪われたものの、帝都の怨霊、平将門に連なる者としての役割を持って物語世界を歩んできた。さらに加護までついている。
その加護とは俤神社の宮司の娘。目方恵子が辰宮洋一郎を守護するため嫁いで来たのだ。しかしその妻も加藤保憲にかどわかされてしまう。こうして加護を失くした辰宮洋一郎に終わりがやってくる。
二・二六事件の将校に撃たれてあっけなく散ってしまう。その後、辰宮用洋一郎なくして【帝都物語】のストーリーは進行していく。辰宮洋一郎が受けた加護とは何だったのか。そのあたりがうやむやに終わっているのが残念だ。