【ドグラ・マグラ】読了。読んだら本当に気が狂う?

【ドグラ・マグラ】は読んだら本当に気が狂う小説だったのか?

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目覚めると記憶がなく、自分が誰なのかわからない。それなのにある凄惨な殺人事件との関りがあると言われたらたまったものじゃない。記憶のない主人公の一人語りと共に不可思議な謎の中に取り込まれる【ドグラ・マグラ】の世界はなるほど、読者を狂気の世界へと誘う内容と言えなくもない。

僕が読んでみた感想としては、思ったよりも読みやすいということ。昔の小説なので、表現も古くて文学よりなのかと思ったら、そんなことはない。娯楽小説だし、新しい表現に挑戦しようとしている姿勢が見えて普通の小説として楽しめた。

物語の登場人物によって書かれた報告書や論文を延々と読まされたりなど、当時としては新し過ぎる試みではなかろうか。現代ではマイクル・クライトンが報告書の体で小説を書き、スティーブン・キングが小説内の登場人物が書いた小説を載せている。そういう意味では気を狂わせる難解小説ではなく、わかりやすく楽しめる娯楽小説だった。

【ドグラ・マグラ】脳髄は考える処に非ず?

【ドグラ・マグラ】が気が狂う小説と呼ばれている所以は、人間の精神に関する新しい見解が描かれているところだろう。しかも進化論など学術的見解から妙に理解してしまう説得力で説明されているから質が悪い。

その見解とは、私たち生物は脳で考えているのではなくて、細胞一つ一つで考えているのであって、脳髄はその細胞たちの連絡役であるという考え。確かに現実世界でも心臓移植をした人に臓器提供者の記憶が宿ったという話もあり、遺伝子に記憶情報が書き込まれているのではないかという話もあった。

なるほど生物が祖先からDNAを受け継いでいるというのであれば、そのDNAに刻まれた祖先の記憶が私たち子孫の遺伝子にも残されていると考えられるのも道理ではないかと思わされる。そのなんだか納得がいくような共鳴感覚が【ドグラ・マグラ】を読むと気が狂うといわれるゆえんのひとつのように思われる。

【ドグラ・マグラ】気でも狂えといわんばかりの小説内読み物

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【ドグラ・マグラ】とは作中に登場する読み物。正木博士なる人物によって書かれた、精神科学に対する突飛な仮説が書かれた書物である。精神科医である正木博士がキチガイ行動の要因や、当時のキチガイ治療に対する批判が書かれている。

『胎児の夢』

『胎児の夢』とは母親の胎内で胎児がこれまでの先祖の記憶を夢として見ているという正木博士の仮説。母親の胎内で赤ちゃんが形成されるとき、魚や爬虫類の形を経て人間の形になるという事実を元に、赤ちゃんがこれまで受け継がれてきた遺伝子たちが生きていた頃の記憶をすべて夢に見ているのだという。

『キチガイ地獄外道祭文』

小説【ドグラ・マグラ】に於いて、一番精神に異常をきたしそうなのがこの『キチガイ地獄外道祭文』だろう。正木博士が贖罪のためか、世間に広めて回った精神病治療の闇を節に合わせて触れ込みをするというもの。

5音節と7音節という節がついているものだから、これを読まされているあいだ延々とそのリズムが頭の中についてまわる。しかも木魚のチャカポコチャカポコという音が随所に挟まれているのだ。

そんな調子が延々と続くものだから、この『キチガイ地獄外道祭文』に含まれた狂気が脳髄に浸透してくる。いや、ここは細胞の一つひとつにと云うべきか。

【ドグラ・マグラ】に散りばめられた謎

【ドグラ・マグラ】の内容は全編、記憶をなくした主人公が誰であるかという謎の探求が主軸になっているように思える。そこには呉一郎という母と婚約者を絞殺した青年がいる。その死んだはずの婚約者らしき気の狂った少女がいる。

そして主人公はどうやらその呉一郎であるらしいという仮説がある。しかし肝心なことはこの主人公が記憶を思い出さないことにはわからないという。そのヒントに正木博士が書いた『ドグラ・マグラ』があるのだ。

【ドグラ・マグラ】ネタバレ真相考察

小説【ドグラ・マグラ】の最後で主人公は作中で経験したこれまでのできごとが繰り返される胎児の夢であるのだとひとり納得して終わる。つまり主人公は胎児で、自分の先祖が精神病院で経験したことを夢に見ていたのだと。

ということは少なくとも記憶喪失で目覚めた主人公は、このあとモヨ子と称させる少女ないし誰かと子孫を残したということになる。作中では明かされていないが、もし主人公=呉一郎だとしたら、呉一郎とモヨ子はこのあと結ばれて結婚したことになるんだよね?

映画化もしていた【ドグラ・マグラ】

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映像化成功とも言われているが、解釈を観るというよりも、小説の中で起こっているできごとをわかりやすく映像にまとめた感じという印象を受けた。小説版は主人公の語りが入っているので、彼の主観から何が起こっているのかを推察することができる。

対して小説版は主人公が観ている以外の場面を映しているので、客観的に事件の全体像を観ることができるのである。おどろおどろしい雰囲気が映像に出ていて個人的に好きだったが、欲を言えば正木博士の論文をもっと作品に浸透させて欲しかった。

【ドグラ・マグラ】OVA版

OVAは未視聴ながら、SF作品になっているらしい。プライムビデオで観られるらしいから、気が向いたらチェックしておこう。

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