映画には様々な見方がある『ブラックパンサー』は?
映画には様々なジャンルがあり、そのジャンルによって違った見方ができるから面白いのではないでしょうか。アート的な作品でポエティックなアプローチな仕方なら、映像からくる情緒を楽しむこともできます。
エンターテイメントを代表するアクションなら、やっぱり激しい戦いが楽しめるでしょう。特に『ブラックパンサー』のようなヒーローものにはヴィラン(悪役)がいてそのヴィランとの戦いが目玉であり見どころです。
『ブラックパンサー』にはお膳立てがある
【アメコミ映画初】『ブラックパンサー』がアカデミー賞にノミネートhttps://t.co/BRe7S8HFju
マーベル映画『ブラックパンサー』がアカデミー賞の作品賞候補に選出。アメコミ映画の作品賞ノミネートは史上初という。 pic.twitter.com/ahkANWezXg
— ライブドアニュース (@livedoornews) January 22, 2019
この『ブラックパンサー』にはヴィランとの戦いを面白くするお膳立てがいくつも用意されており、そのお膳立てこそが現在大量生産されているアメコミ映画の醍醐味でもあります。
そのお膳立てのひとつで良くあるのがヒーローを窮地に追い込むことですね。ヴィランが強いこともそのひとつなのですが、狡猾さでヒーローの周りに味方がいない状況を作り出すのもお膳立てのひとつですね。
その窮地があることにより、観客のヴィランに対するヘイトも上がります。さらにヒーローがその窮地から脱して欲しいという観客の願いも強いです。こうしてヒーローとヴィランとの戦いに興奮できます。
【ネタバレ】『ブラックパンサー』が用意したお膳立てを紹介
お膳立て1:最悪の敵を用意
最強の敵クロウ
ブラックパンサーのクロウ役のアンディ・サーキスさんはロードオブザリングのゴラムを演じていたのは知ってましたが、よもやスターウォーズのスノークまでやられていたとは知らなかった(^◇^;) pic.twitter.com/qX1dje0KQx
— くまたろー (@takakuma0204) July 7, 2018
このクロウが悪いやつで、ワカンダが隠してきた秘蔵っ子であるヴィブラニウムを略奪して大儲けする悪いやつです。もう長い間ワカンダの敵として君臨し続けて、多くのワカンダ人を殺して来た因縁の相手です。
義手をしておりその義手が隠し武器になっています。手からエネルギーの弾丸を撃つ姿が、『攻殻機動隊』に出て来たロシアのばあさん(クルツコワ)や「全自動資本主義」に登場し腕からコイン弾をぶっぱしていたチャイナ娘を彷彿とさせました。
ゴラムのモーションキャプチャーをした俳優として有名なアンディ・サーキスによる演技で狂気が少し雰囲気に出ていて、ヴィランとしてこんな魅力的な相手はいません。かと思いきや、新のヴィランに殺されてしまいました。
最悪の敵キルモンガー
確認したらアカデミー賞にブラックパンサーのマイケル・B・ジョーダンはノミネートされてないのね?助演男優賞ばりの演技じゃなかった?日本公開まだのも結構あるから受賞とは言えないけどさ。あのキルモンガーのおかげで作品が相当引き上げられてると思うんだけど。 pic.twitter.com/0iy2oWHLiX
— コブン@勉強は出来る子 (@kobun920) January 23, 2019
エリック・スティーブンスとしてクロウと行動を共にしていたキルモンガーは手土産にクロウを殺してワカンダ入りをします。キルモンガーは実は先代王の弟の息子で、ヴィブラニウムを横流ししようとした父を先代王に殺されていました。
先代王の甥であるキルモンガーのワカンダ名はウンジャダカで、王位継承権を持っています。そして主人公のブラックパンサーの王位に異を唱えました。そしてブラックパンサーと決闘で勝利、王位を剥奪してしまったのです。
お膳立て2:キルモンガーの最悪な目的
正直ブラックパンサーはキルモンガー以外全く魅力のない映画だった pic.twitter.com/1Xc6iN5giA
— アイアン (@1785410) January 22, 2019
ワカンダに帰還し、王位を奪ったのにはある目的があります。それは父親の意思を継ぐことです。父親はワカンダの外の世界を見てきて、か弱きものたちが力を持つものたちに虐げられている現実を知りました。
その弱いものたちを助けるために父親はヴィブラニウムを横流ししようとしたのです。キルモンガーの目的も弱者にヴィブラニウム製の武器を渡すことでしたが、その後の目的が間違っていました。
彼は弱者によってこれまでの強者に戦争をしかけて打ち倒そうとしていたのです。これではワカンダが侵略国として世界中の敵となっていまします。自分の国が敵国となってしまう。ヒーローが陥る窮地としても最悪にして最高のお膳立てです。
お膳立て3:ヴィランにも共感できてしまう点が最悪
MARVEL垢を作りました。
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あ、ブラックパンサーが好きで何気キルモンガーめっちゃ好きです☺️#いいねした人フォロー#RTした人フォロー#MARVEL pic.twitter.com/NLKdv5kmDA— お漏らし垂らし【MARVEL】【DC】 (@MARVELomorasi) October 10, 2018
ヴィランであるキルモンガーが最悪な点は、残忍な殺人鬼で悪逆の限りを尽くすという意味で最悪ではありません。キルモンガーには過去があり、目指す道が必ずしも間違いとは言い切れないヴィランである点で最悪なのです。
王位をブラックパンサーから奪い、弱者から強者の立場へと返り咲いて世界の敵になるような戦争行為を仕掛ける以外はまっとうな理由であると言えます。ワカンダがひた隠しにしてきた事実を弱者にも分けようとしていたからです。
それはワカンダという国を守ろうとした先人たちの正しい考えですが、時代が変化する中でやり方が間違ってきました。げんにブラックパンサーはこの戦いで勝利したのち、ヴィブラニウムとその技術を世界に公表したわけですから。
ヒーロー活躍のお膳立てをした『ブラックパンサー』
👑作品賞を含む7部門ノミネート pic.twitter.com/AdtJLrgfek
— 『アベンジャーズ』[公式] (@AVG_JP) January 22, 2019
エンターテイメント作品であるアメコミ原作の映画の見どころはヒーロー対ヴィランの戦いなので、その戦いをお膳立てすることは映画を面白くするのに必須事項です。
そのお膳立てにヴィランが強いことは必須条件で、キルモンガーも軍人として最強の名をはせており、強敵となっています。しかし、それだけでなく王位を奪い、ブラックパンサーからパワーと権力を奪うと言う窮地に立たせるのもそのお膳立てのひとつです。
それだけではなく、キルモンガーには少し共感してしまえるような信念があるからこそ魅力的なのです。ヒーローとヴィランとの戦いには双方が魅力的に見えるお膳立てが必要で、『ブラックパンサー』はそのお膳立てに成功しています。