【山羊座のもとに】ヒッチコック監督の別の一面

ヒッチコック監督の別の一面

ヒッチコック監督作品なのでサスペンスかと思いきや、ゆったりとしたメロドラマ風。サスペンスと思って観ていたので、こいつ怪しいなとサスピシャス・マインド全快だったのですが、実際は一人を除いて良い人たちばかりという結果。だからと言って、満足しなかったわけではません。普通のメロドラマとしては普通に面白かったです。

ヒッチコック好き、クラシック映画好きなら一度観ておいても損はない作品であると思います。

【ネタバレあり】サスペンスへの期待を裏切られる展開

 この映画を観て行くと、このあと何かが起こるなという予想をことごとく裏切られてしまいます。

 主人公アデアのもとに成り上がり者のフランスキーがやってくる。儲け話に興味津々な彼はその話に乗ってしまう。誘われても彼の家には絶対に行くなとアデアは忠告されれます。このシーンで、主人公がフランスキーから何か事件に巻き込まれるなと期待せずにはいられません。(巻き込まれ系はヒッチコック監督の十八番パターン)

 そして話は淡々と進み、過去がもとで心身病気がちになってしまったフランスキーの妻(イングリッド・バーグマン)が登場。彼女はアデアの昔の友人で、彼を昔の元気な姿に戻そうと、彼女に恋心を抱くアデアががんばります。ここでもまた夫が妻の病気に加担しているんじゃないかと疑ってしまうシーンがいくつか。

 物語は進みフランスキーの妻を貴族のパーティーに連れて行くアデア。貴族の出ではないフランスキーはその格差に対するコンプレックスから出席しなかったのだが、妻がアデアと情事を重ねているのではないかという話を聞き、激怒して連れ戻してしまう……

 とまあ、ここまでの展開は期待していた展開にはならず。しかし、ここからはしっかりとしたメロドラマへと展開してくれます。

もっとネタバレ

 さてここからが感想の本題なのですが、主人公の立ち位置について考察したいと思います。まず主人公はアデアで間違いないはず。彼を中心に物語が進むからです。

 さてここでメロドラマの定義について説明したいと思います。まずメロドラマには三つの役割が重要になってきます。一人目がヒーロー。つまり主人公です。そして二人目がヒロイン。つまりヒーローと恋仲になる女性。そして最後の三人目がヴィラン。つまりヒーローとヒロインとの仲をぐちゃぐちゃにしてしまう悪役です。この三役が揃って初めてメロドラマが展開されます。

 フランスキーが激昂して妻を連れ戻し、事故でアデアに怪我させてしまうことから、ストーリーは夫婦の関係修復へと発展します。そしてこの二人の間にヴィラン登場。さらにフランスキーの前科持ちという過去から絞首刑にされてしまうかもしれない、というシチュエーション・ヴィランまでも現る展開。そして二人はヴィランに打ち勝ち、強く絆を深めるわけです。

 ここで疑問が出て来るのが最初に主人公としてステートされたアデアの存在。彼は妻の立ち直りを手伝い、夫の嫉妬を演出し、最後は夫妻を助けてスピードワゴンのようにクールに去る。これ、明らかにアンタゴニスト(プロタゴニスト(劇中で成長などの変化を遂げるキャラクター)に変化を与えるキャラクター。プロタゴニストの敵だったり師匠だったり親だったりする)としての立ち位置でしょう。

 そうなると真の主人公とはフランスキーだったのか。いや、またはその妻だったのかもしれない。と考えられずにはいられません。結末を考えると、この物語はフランスキーの妻と二人の絆の再生だからです。

 しかし物語のほとんどはアデアを中心に描かれるんですね。こういう描き方は監督なりの狙いがあったのでしょうか?

by カエレバ

 

こちらの記事も人気です

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA